労働紛争事件に適用される法律問題に関する解釈(二)【案例三】
― 労働者が約定に基づいて労務を提供しなかった場合 ―
8月1日、最高人民法院は『労働紛争事件の審理における法律適用問題に関する解釈(二)』(以下「解釈(二)」という)を公布し、社会保険や競業避止など、社会的関心の高い争点について法律適用の基準を統一した。2025年9月1日より施行される。
「解釈(二)」では、使用者が労働者との約定に基づき特別な待遇を提供した後に、労働者が一定期間の労務を提供せず、それによって使用者に損害を与えた場合、人民法院は実際の損害、当事者の過失の状況、関連する約定が履行された期間などの要素を考慮し、労働者が負うべき賠償責任を認定できると規定している。
また、労働契約法においては、使用者と労働者が労働関係を構築する際には、法に従い書面による労働契約を締結する必要があり、これを怠った場合、使用者は労働者に対して二倍の賃金を支払う義務を負うとされている。しかしながら、労働契約は双務契約であり、その締結には労働者の協力が不可欠である。この点に関し、「解釈(二)」では、労働者に故意または重大な過失で、書面による労働契約の締結を行わなかった場合、使用者は二倍の賃金を支払う責任を負わないと定めている。