労災の休業補償期間の延長について
– 診断書に基づいて休業補償期間の延長を主張できるか –
【事案概要】
ある従業員は建設会社の社員であり、会社は労災保険料を納付していた。2021年10月、当該従業員は業務中に負傷し、入院治療を受けた。その後、労災と認定され、休業補償期間は12か月とされた。この間、会社は法定の規定に従い、毎月補償期間中の賃金を支払っていた。
2022年9月以降、会社は書面、電話、WeChatなどを通じて当該従業員に対し、休業補償期間の延長が必要であれば、関連資料を提出し、労働能力鑑定委員会による現地鑑定を受けたうえで確認を受ける必要があると通知していた。しかし、従業員はこれに協力せず、ある病院が発行した「2022年11月から2023年1月までの病休継続を推奨する」との診断書のみを提出し、人事担当者との連絡を拒否していた。
そのため、会社は2022年11月以降、休業補償期間の満了を理由に、病気休暇としての給与を支給する対応を取った。
2023年2月、当該従業員は労働仲裁を申し立てた。
【労働仲裁委員会および裁判所の見解】
従業員が関連資料の提出および現地鑑定を拒否したため、所在地の市級労働能力鑑定委員会による延長確認が行われておらず、休業補償期間は2022年10月に満了したものと見なされる。
したがって、会社が補償期間終了後に補償賃金水準での給与及び福利厚生を支給しなかった対応には問題がなく、仲裁委員会は当該従業員の申立てを認めなかった。
なお、休業補償期間と医療機関が判断する治療休養期間は同一ではない。医療機関が労災従業員の具体的な傷病状況に応じて判断するものであるが、補償期間の延長可否については、法定の専門機関が法定手続きに基づいて判断を行う必要がある。仮に重傷または特別な事情により補償期間の延長が必要な場合には、「労災保険条例」に定められた手続きに従い、所轄の労働能力鑑定委員会へ申請を行う必要があり、医療機関が発行した診断書のみで一方的に延長することはできない。