固定給支給制における残業代の算出について
【案 例】
2020年7月、従業員AはB社に入社した。双方は労働契約書を取り交わし、毎月の給与を固定給4000元(残業代込み)で約定した。
2021年2月、Aが個人都合で労働契約の解除を提出した。同時に、残業代の支払不足と主張し、その差額の支払いをB社に要求した。B社はAが残業していた事実を認めたが、労働契約書において、毎月の給与(固定給)に残業代が含まれていたことを理由として、Aの差額支払請求を拒否した。
【判決結果】
本案件の争議焦点として、B社はAと固定給支給制で約定したため、法律に基づいて残業代差額の支給が必要であるか否かに関する問題である。
『中華人民共和国労働法』第47条、第48条、及び『最低賃金規定』(労働と社会保障部令第21号)の第3条などの条項において、「雇用企業は法律に基づいて、自主的に賃金の分配と基準を確定し、労働者と相応な約定を行うことができる。但し、法律規定の最低賃金、残業代の支払基準などを反してはならない」と規定されている。
本案件において、Aの実労働時間の換算により、現地最低賃金基準をAの法定基準労働時間賃金として認定し、これを基準で残業代を計算しても、約定した4000元の固定給を超えている。これはB社がAの残業代を全額払っていないことを示している。よって、仲裁委員会は、B社がAに残業代差額を支払うべきと裁決した。