早退後に起きた労災事故の認定
【案 例】
従業員Aは退勤時間の10分前に退勤し、帰宅途中において交通事故が発生し、病院にて破裂骨折と診断された。事故責任の認定からAの責任ではないことが確定し、Aは労災鑑定の申請を行った。その後、社会保険部門は調査を経て、労災が確定した。
しかし、会社はAの退勤が早退行為であるため、労災と認定すべきではないと主張し、行政不服審査を申請した後、行政訴訟を提起した。
【分 析】
1.『労災保険条例』第14条第6項の規定により、「通勤途中において、本人の主要責任でない交通事故などに遭った場合」、労災と認定すべき。
2.早退行為は労働規則に反する行為であり、雇用企業は相応の自主権があるため、関連規則制度に基づき相応の処分を行うことができる。ただ、「労災認定」は別の法律関係であり、労働者が通勤途中で事故に遭い、法定条件に達した場合、労災と認定される。雇用企業における会社制度違反、規則違反などを労災認定の否定理由とすることはできない。
上述の通り、Aの行為が早退行為であったとしても、退勤途中で本人の責任に帰することができない交通事故に遭遇した場合、『労災保険条例』第14条第6項の規定が適用され、受けた傷害は労災と認定すべき。