試用期間中における労使関係の解除について
【案 例】
・張氏はA社に入社し、労働契約(期間2年間、試用期間2か月間)を取交しました。
・試用期間中、A社は採用条件を満たしていないことを理由に、労使関係の解除を張氏に通知しました。
・張氏は労働仲裁を提起し、A社に賠償金の支払いを要求しました。
【仲裁結果】
・A 社は敗訴となりました。その理由は、
A 社は「張氏が試用期間中の採用条件を知っている」ことを立証できず、張氏が採用条件を満たしていない主張を裏付ける事実根拠が不十分である。
法的根拠
『労働契約法』第39条:
労働者が下記のいずれかに該当する場合、雇用企業は労使関係を解除することができる。
(一)試用期間内において、採用条件を満たしていないことが証明された場合。
当該案例分析
雇用企業の「試用期間中において、任意に新入社員と労使関係を解除できる」という認識は間違っています。
【対応策】
① 雇用企業は新入社員に対して、詳細な採用条件や評価基準を制定しなければなりません。また、試用期間中、新入社員に対する評価を行う部門、日時、方法などを明記し、新入社員に確認及び署名を行ってもらいます。
② 定めた時期に新入社員に対する評価を行い、新入社員に評価結果の確認及び署名を行ってもらいます。
③『労使関係解除通知書』に「労使関係解除の理由」を明記し、「試用期間において業務に適していない」といったような簡単な文言を記述するのを避けてください。