従業員に対する降格の注意点
【ご質問】
A社従業員甲は組長の仕事に適任ではないため、会社は降格処分を考えています。
A社での操作員と組長の違いは、組長は操作員と同じ仕事内容を熟し、加え他の従業員の仕事を手配し、確認する必要がありますが、操作員は自分の仕事内容に専念のみです。
ですので、今回の降格では、ポスト性質にそれほどの変化はなく、給与待遇も変化がありません。
この場合、会社は降格させることができるのでしょうか。
【回 答】
雇用側が従業員に対し降格処分を行う際、下記のいくつかの点に注意を払う必要があります。
1.一般概念上、従業員を「組長」から「一般操作員」に調整するのは、一種の降格行為にあたり、雇用側がこのような判断を行った理由の証明として完備された一連の証拠が必要となります。
例えば、
・従業員本人が組長として不適任であり、関連する仕事をこなす能力が欠如している。
・従業員本人が仕事中に重大なミスを犯し、雇用側に損失をもたらした。
・他の従業員が当該従業員の管理に服従せず、部門の生産に影響を与えた。
→ 証拠が揃って初めて雇用側は従業員の職務を調整することができます。
2.上記の案例において、ポストの性質がそれほど変わらないように見受けられますが(「減給」も係ってこない)、実質的には「降格」調整であるため、雇用側は職務を調整する際、関連する証拠を事前に揃える必要があります。
3.労働仲裁が発生した場合、雇用側が職務を調整した行為が合法であるか否かを判断するため、第三者(仲裁廷)が関連証拠の確認を行うことになります。その際、雇用側の証拠が不十分である場合、敗訴の可能性が大きいでしょう。