【質問】
ある従業員は入社の際、会社と2年間の雇用契約及び競業制限契約を締結した。競業制限契約には如何なる原因で退職したとしても、離職後2年以内に競業業界に携わってはならないと約定した。双方が約定した労働報酬は賃金、手当など以外に秘密保持費用500元/月を含んでいる。
当該従業員は1年後、退職願を提出し、会社を辞めた。その後、当該従業員は仲裁を提起し、会社に給料2ヵ月分に相当する競業制限期間の経済補償の支払いを申し出た。しかし、会社側は、当該従業員の在職期間内に、会社は既に「秘密保持費用」の名義で競業制限契約の経済補償を支払っていたため、再び経済補償を支払うという申出は合理的ではないと主張した。
上記の状況で、当該従業員は会社に経済補償の支払を請求することができるか。
【回答】
· 秘密保持及び競業制限の区別
相違点 |
秘密保持 |
競業制限 |
発生方法 |
秘密保持は法定義務であり、双方が約定したかどうかに関わらず、従業員は在職期間及び退職後も商業秘密を守る義務がある |
競業制限は双方当事者の約定を基に担う義務である |
履行期間 |
秘密保持義務には期限がない |
競業制限には約定期間がある |
費用の支払 |
·秘密保持費用は、支払いを約定することができ、支払わないこともできる ・秘密保持費用の支払いは労働者の在職期間内に支給される |
·競業制限は労働者の職業自由選択に対する制限に当り、雇用者は労働者に相応な経済補償を与えるべきである ・競業制限の経済補償は労働者が退職後、月ごとに支給するものである |
· 会社が労働者の在職期間内に支給した秘密保持費用は競業制限の経済補償ではないため、会社が労働者に競業制限義務の履行を要求する場合、競業制限の経済補償を支払うべきである。
・ 会社が競業制限期間内に競業制限契約書の解除を申出る場合、労働者は会社に定額外の3ヶ月分の競業制限の経済補償の支払いを請求する権利を有する。